デルタ航空は2026年10月29日、ビジネスクラス以上に相当する最上位クラス「デルタ・ワン」のサービスを大幅に刷新すると発表しました。新しい機内食や新アメニティの導入に加え、羽田発着の全便で日本酒「獺祭 純米大吟醸45」の提供が始まります。先行導入は2026年11月3日からロサンゼルス発の大洋横断路線で始まり、羽田〜ロサンゼルス線もこの対象に含まれます。
何が変わるのか
今回の刷新は、デルタ航空が「過去約30年で最も大規模なプレミアムキャビン改革」と位置づけるものです。メニュー監修には、英国トーキーのレストラン「The Elephant」で20年間ミシュランの星を保持しているシェフのサイモン・ハルストーン氏と、マスターソムリエのアンドレア・ロビンソン氏が加わりました。新メニューには「デルタ・ワン和牛ビーフバーガー」や、トマト・タラゴンソース仕立てのロースト・シーバスなどが用意されています。和食の監修は「一汁二菜うえの」の上野法男氏が引き続き担当し、中華系メニューには香港のシェフ、ジェレミー・リョン氏も協力しています。
羽田発着便では、2026年11月3日から全便で日本酒「獺祭 純米大吟醸45」の提供が始まります。獺祭は山口県の旭酒造が造る日本酒ブランドで、「45」は山田錦を精米歩合45%まで磨いた純米大吟醸です。フルーティな香りとみずみずしい喉ごしが特徴で、獺祭シリーズの中では比較的手に取りやすい価格帯の銘柄として知られています。12月からは、これに加えてシングルバレル・バーボン「ブラントン」も提供される予定です。あわせてミッソーニ製のアメニティキットや追加の抱き枕も11月3日から導入され、2027年春には新しいカクテル・モクテルのプログラムも展開される計画です。
デルタ・ワンを設定する国際線全体と一部の長距離米国内線への展開は、2027年初頭にかけて段階的に進められます。羽田〜ロサンゼルス線は現在毎日運航されている路線で、今回の刷新の先行導入対象に位置づけられています。
なぜ今、羽田発着便を重視するのか
羽田を軸にしたアジア戦略の一環
デルタ航空は近年、日本路線を同社のアジア戦略における重要拠点として位置づける発言を重ねてきました。羽田発では現在、シアトル・アトランタ・デトロイト・ミネアポリス・ロサンゼルス・ホノルルの6都市へ毎日直行便を運航しています。さらに2027年3月28日からは、成田〜シアトル線を新規開設する予定で、これはデルタにとって約7年ぶりの成田再就航になります。背景として、羽田の発着枠に制約があることが挙げられており、羽田だけでは増やしきれない需要を成田側で補う狙いがあるとみられます。デルタはこの冬からすべての米本土線をA350型機で統一する方針も示しており、機材・路線網の両面で日本発着ネットワークへの投資を続けていることが分かります。
獺祭を羽田発着の全便に導入する判断も、この文脈で見ると分かりやすくなります。アメリカの航空会社が日本酒を提供することそのものは珍しくありませんが、「羽田発着の全便」という範囲指定は、日本発の利用者だけでなく、羽田を経由してアメリカへ向かう外国人利用者にも日本らしい体験を提供し、デルタの日本路線を選ぶ理由を増やそうという狙いが読み取れます。ビジネスクラス帯の競争は、ANA・JALという地元の大手2社に加え、デルタのようなアメリカ勢、さらに中東・アジア各国のキャリアとの間でも激しくなっています。機内食・酒類といった「体験の質」で差別化を図るのは、路線網の規模だけでは埋めにくい競争力の差を補うための、現実的な戦略だといえます。
利用者への影響と活用法
羽田〜ロサンゼルス線をデルタ・ワンで利用する予定がある人は、2026年11月3日以降の搭乗分から新メニュー・新アメニティ・獺祭の提供が始まる点を踏まえて予約のタイミングを考えるとよいでしょう。11月3日より前に搭乗する場合は、刷新前のサービス内容になる可能性があります。羽田発着の他路線(シアトル・アトランタ・デトロイト・ミネアポリス・ホノルル)についても、全便が対象とされているため、獺祭の提供自体はほぼ同時期に始まると見てよさそうです。
デルタ・ワンの料金は通常のビジネスクラス運賃と同様、エコノミークラスに比べて高額になります。今回の刷新を機に利用を検討する場合は、マイルを使った特典航空券やアップグレードの空席状況も含めて早めに確認しておくと、希望の日程で座席を確保しやすくなります。獺祭やデルタ・ワン限定メニューといった「体験」目的で利用を考えている人は、搭乗前にデルタの公式サイトでメニューの最新情報を確認し、提供開始後の搭乗を選ぶと刷新後のサービスを確実に体験できます。


コメント