8月17日からは1日14往復、朝6時台から夜22時台まで
8月17日から当面のあいだ、新水俣〜鹿児島中央では「つばめ」が1日14往復、本数にして28本運転されます。8月16日までの6往復(12本)から、一気に倍以上に増える計算です。
| 項目 | 8月7日〜16日 | 8月17日以降 |
|---|---|---|
| 本数 | 1日6往復(12本) | 1日14往復(28本) |
| 鹿児島中央発 | 6時00分〜19時34分 | 6時00分〜21時04分 |
| 新水俣発 | 6時47分〜20時26分 | 6時46分〜21時51分 |
| 停車駅 | 各駅停車 | 各駅停車(出水・川内) |
| 座席 | 全車自由席(グリーン席は営業なし) | 全車自由席(グリーン席は営業なし) |
すべての列車が途中の出水、川内に停車する各駅停車で、この点は変わりません。座席の扱いも同じで、グリーン席は使えず、普通車はすべて自由席として扱われます。指定席の設定はありません。
見逃せないのは、運転時間帯が前後に伸びたことです。これまで鹿児島中央発の最終は19時34分でしたが、8月17日からは21時04分まで延びます。新水俣発も20時26分から21時51分に繰り下がります。暫定ダイヤでは10時16分発と16時06分発のあいだが6時間近く空いていましたが、14往復に増えれば、単純計算で運転時間帯の平均間隔は1時間強になります。時刻表を調べずに駅へ向かっても、そう長くは待たない水準に戻ります。
ただし、車内の化粧室と洗面所が使えない状態は続きます。新水俣〜鹿児島中央は乗車時間30分程度の区間ですが、小さなお子さん連れの方や、在来線から乗り継いで長時間移動する方は、乗車前に駅で済ませておいてください。
熊本〜新水俣は8月中の再開が難しい
もう一方の熊本〜新水俣については、復旧作業を続けているものの、8月中の運転再開は困難だという説明がされています。JR九州は被害の全容が確認でき次第、運転再開の見込みを8月中に改めて発表する予定としています。
この区間の復旧が長引いているのは、被害の質が他の区間と違うためです。線路には日奈久断層帯と交差する箇所があり、そこでは地盤そのものが動きました。防音壁の落下や架線の断線であれば部材を取り替えれば復旧しますが、断層がずれて地盤ごと動いた場所では、橋りょうやレールの位置が設計値からずれています。構造物を元の線形に戻す工事は、部品交換とは別の作業になります。2016年の熊本地震で九州新幹線が13日間で全線再開したのと比べて時間がかかっているのは、この違いによるものです。
つまり、8月17日以降も博多から鹿児島中央まで新幹線で通しで乗ることはできません。九州新幹線は博多〜熊本と新水俣〜鹿児島中央の2つに分かれたまま、それぞれの区間で運転が続く形になります。
なぜお盆を6往復で乗り切り、そのあとで倍にするのでしょうか
順序を見ると不思議に思えます。1年でもっとも人が動くお盆を6往復でしのぎ、需要が落ち着く8月17日から14往復に増やしているからです。本数を増やせるなら、お盆に間に合わせたほうが利用者にとってはありがたかったはずです。
ここには、被災した新幹線を動かすときの制約が表れているのではないでしょうか。8月7日の再開は、お盆の帰省ラッシュ初日に何とか間に合わせた形でした。グリーン席を営業せず、指定席も設けず、化粧室も使えないという運転形態は、平常時の新幹線ではまず考えられません。設備の確認が完全に終わっていない段階で、運転できる範囲だけを切り出して動かしたと考えるのが自然です。営業列車を走らせながら、並行して設備の点検や補修を進めていけば、確認済みの区間・時間帯は少しずつ広がります。10日ほど走らせて安全が確かめられたところで、本数と運転時間帯を広げたという流れになります。
もうひとつ、夜間の作業時間との兼ね合いもあります。新幹線の保守は終列車から始発までの数時間に集中して行われます。運転時間帯を21時台まで延ばすということは、その分だけ夜間の作業時間が削られるということです。熊本〜新水俣の復旧工事が続いている最中に、鹿児島側の終列車を1時間半も繰り下げられるようになったのは、鹿児島側で必要な夜間作業がひととおり終わったという判断の裏返しだと読めます。
そして、6往復のままでは地域の足として機能しません。新水俣〜鹿児島中央は出水、川内という人口の集まる街を通ります。お盆の帰省客が引いたあとに残るのは、通勤・通学・通院といった日常の移動です。昼間に6時間も列車が来ないダイヤは、旅行者にとっては不便で済みますが、そこで生活している人にとっては使えない交通機関になってしまいます。お盆明けの増発は、観光需要よりも、平日の生活輸送を戻すことを優先した判断ではないでしょうか。
空路と在来線がどう補っているか
新幹線が分断されているあいだ、九州域内の南北移動は空路と在来線が肩代わりしています。
JALは福岡〜鹿児島線に臨時便を設定し続けています。8月9日から19日までで計80便が設定され、さらに8月12日には、お盆休みの最終日にあたる8月16日の便が満席になったとして、1往復を追加しました。追加されたのはJL3333便が福岡10時40分発・鹿児島11時30分着、JL3334便が鹿児島12時05分発・福岡12時55分着です。機材はボーイング737-800型機の国際線仕様機で、2クラス144席という構成です。福岡〜鹿児島という区間は、平常時であれば新幹線で最速1時間20分ほどの距離で、航空需要は限られます。そこに1日8便前後の臨時便が並ぶのは、新幹線の分断がそれだけ大きな穴を開けているということです。
在来線側では、肥薩おれんじ鉄道が川内〜水俣を8月5日の始発から再開しました。被害の大きい八代〜水俣は運休が続いていますが、8月10日から代行バスの運行が始まっています。八代から水俣まではバス、水俣から川内までは肥薩おれんじ鉄道、川内から鹿児島中央までは新幹線か在来線、という乗り継ぎで、鉄道系の交通機関だけでも南北をつなぐことは可能になりました。ただし所要時間は平常時と比べものになりません。
旅行者はどう動けばよいのでしょうか
まず、8月17日以降に鹿児島方面へ向かう方は、博多からの通し利用ができないことを前提に計画を立ててください。福岡から鹿児島へ移動するなら、現時点でもっとも時間が読めるのは空路です。福岡〜鹿児島線は臨時便が設定されている期間であれば選択肢が多く、飛行時間そのものは50分程度です。ただし満席になりやすい状況が続いているので、日程が決まっているなら早めに押さえておくほうが安全でしょう。
高速バスという手もあります。九州自動車道の松橋〜えびの間は8月後半に通行可能になる見通しが示されており、道路事情は改善に向かっています。ただし復旧工事の進み方で状況が変わるため、出発前に運行状況を確認してください。
鹿児島県内だけを移動するなら、8月17日以降はかなり動きやすくなります。鹿児島中央から出水、川内へは14往復の「つばめ」が使え、夜21時台まで列車があります。鹿児島中央を夕方に出て出水や川内で夕食を取り、その日のうちに戻るという動き方も成り立つようになります。
注意したいのは、切符の買い方です。全車自由席で指定席の設定がないため、事前に座席を確保することはできません。乗車券と自由席特急券を用意して、早めにホームへ向かうのが基本になります。混雑する時間帯には座れないことも想定しておいてください。また、化粧室が使えない点は8月17日以降も変わりません。
熊本〜新水俣の再開見込みは8月中に発表される予定です。9月以降に九州縦断を計画している方は、その発表を待ってから宿や交通手段を確定させるほうが、組み直しの手間を減らせます。
まとめ
九州新幹線の新水俣〜鹿児島中央は、8月17日から1日14往復に増発され、鹿児島中央発は21時04分、新水俣発は21時51分まで運転時間帯が延びます。列車はこれまでと同じく各駅停車の「つばめ」で、グリーン席は営業せず全車自由席、化粧室と洗面所は引き続き使えません。
熊本〜新水俣は8月中の再開が難しく、博多から鹿児島中央までの通し利用はできない状態が続きます。九州を南北に移動するなら、当面は福岡〜鹿児島の空路か、肥薩おれんじ鉄道と代行バスを乗り継ぐルートが現実的です。鹿児島県内の移動については、8月17日を境に使い勝手が大きく変わります。


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