投入される期間と運航スケジュール
対象となるのは1日1往復の定期便で、便名と時刻は次のとおりです。
| 便名 | 区間 | 時刻 |
|---|---|---|
| JX850 | 台北/桃園 → 札幌/新千歳 | 09時15分発 → 14時05分着 |
| JX851 | 札幌/新千歳 → 台北/桃園 | 15時20分発 → 19時05分着 |
冬ダイヤが始まる10月25日から11月30日までは現行のA350-900型機で運航し、12月1日からA350-1000型機に切り替わります。投入は2027年3月26日までの期間限定です。スターラックス航空のA350-1000は、2026年2月に東京/成田〜台北/桃園線へ初めて投入された機材で、新千歳線はこれに続く日本での2路線目となります。
座席はこう変わる
A350-1000は、A350-900より胴体が長い派生型です。スターラックス航空の仕様では、ファーストクラスからエコノミークラスまでの4クラス構成という点は共通していますが、席数の配分が変わります。
| クラス | A350-900(現行) | A350-1000(12月1日以降) |
|---|---|---|
| ファーストクラス | 4席 | 4席 |
| ビジネスクラス | 26席 | 40席 |
| プレミアムエコノミー | 36席 | 36席 |
| エコノミークラス | 240席 | 270席 |
| 合計 | 306席 | 350席 |
合計では44席の増加ですが、内訳を見るとエコノミークラスが30席増(12.5%増)なのに対し、ビジネスクラスは26席から40席へと14席増え、伸び率では54%に達します。座席の総数を増やしただけでなく、上位クラスの比重を明確に高めた構成です。
増便ではなく機材の大型化を選んだ意味
同じ「供給を増やす」でも、便数を増やす方法と機材を大きくする方法があります。今回スターラックス航空が後者を選んだ背景には、この路線の置かれた状況があると考えられます。
新千歳〜台北/桃園線は、チャイナエアライン、エバー航空、スターラックス航空、タイガーエア台湾の台湾勢4社に、タイエアアジア、タイベトジェットエア、スクートを加えた7社が競合する激戦路線です。搭乗率も高い水準で推移しており、2026年4月はエバー航空が93.1%でトップ、5月はタイガーエア台湾が88.2%でトップという実績が出ています。需要そのものは強いものの、これだけ社数が並んだ路線に便を追加するのは、発着枠の確保という面でも、価格競争を自ら激しくするという面でも、うまみが小さくなります。
一方、機材の大型化であれば、発着枠も乗員の乗務パターンも空港での地上業務の回数も増やさずに、座席だけを14%あまり増やせます。1便あたりの固定費をより多くの座席で割ることになるため、座席1席あたりのコストはむしろ下がります。すでに高い搭乗率が出ている路線で供給を足すなら、この方法がもっとも効率が良い選択です。
需要の裏付けもあります。2025年の訪日台湾人は676万3,424人、旅行消費額は1兆2,033億円で、いずれも2年連続の過去最高でした。2026年に入ってからも、4月・5月・6月と台湾市場は各月の過去最高を更新し続けています。訪日客の総数が中国市場の落ち込みで前年割れしている中でも、台湾は伸び続けている市場です。
投入期間が12月1日から3月26日までに限られているのも、理にかなった設計です。台湾から北海道への旅行は、台湾では見られない雪と、スキーや温泉が目的の中心で、需要は冬に集中します。年間を通して大型機を張り付けるのではなく、ピークだけ大きい機材を持ってくれば、需要が薄い時期に空席を抱え込まずに済みます。機材の投入自体が、その期間の売れ行きを確かめる試験にもなります。
そして、ビジネスクラスを26席から40席へ増やした点に、同社の姿勢がよく表れています。スターラックス航空は「台湾のエミレーツ航空」を掲げて設立され、就航から5年でSkytraxの5スターエアライン認定を得た会社です。座席数の勝負でLCCと張り合うのではなく、上位クラスの単価で稼ぐという方向がはっきりしています。北海道路線でファーストクラスを含む4クラスを維持しているのも、その延長線上の判断だと考えられます。
旅行者にとってのポイント
まず、12月1日以降に新千歳と台北を往復する予定がある人にとっては、単純に席が取りやすくなります。冬の北海道は台湾から見て一年で最も人気の高い時期で、これまでは早い段階で満席になる便もありました。1便あたり44席の上積みは、繁忙期の予約状況に確実に効いてきます。
上位クラスを狙っている人には、より大きな変化があります。ビジネスクラスが26席から40席になるということは、有償の座席も特典で押さえられる座席も増えるということです。日本〜台湾は飛行時間4時間前後の路線で、長距離線に比べればビジネスクラスの運賃も手が届きやすい範囲に収まります。スターラックス航空のビジネスクラスを試してみたいと考えていた人には、狙いやすい期間になります。
予約の際は、搭乗日が11月30日までか12月1日以降かで機材が変わる点に注意してください。A350-900とA350-1000では座席の配置が異なるため、座席指定の画面で見える並びも変わります。同じ路線・同じ便名でも中身が違うので、シート仕様を確認してから席を選ぶことをおすすめします。
ダイヤは台北を午前に出て新千歳に14時05分着、折り返しが15時20分発という日中の設定です。到着日の午後から札幌市内に入って動けますし、帰りも午前中を空港へ向かう時間に使えます。深夜便に比べると体への負担は軽い時間帯です。
なお、A350-1000の投入は2027年3月26日までの発表にとどまっています。その後どうなるかは示されていないため、春以降の旅行を考えている場合は、改めて運航機材を確認してください。
まとめ
今回の発表は、新しい路線が増えるわけでも便数が変わるわけでもありませんが、冬の北海道と台湾を結ぶ座席が実質的に増えるという点で、旅行者にとって意味のある変化です。7社がひしめく路線で、便を足さずに機材を大きくするという選択は、需要の強さとコストの両方を見た合理的な判断だと考えられます。冬に台湾から北海道へ、あるいは北海道から台湾へ向かう予定がある人、そしてスターラックス航空の上位クラスに乗ってみたい人は、12月1日以降の便を候補に入れてみてください。


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