台北3泊4日旅行記|十份・九份・台北101・故宮博物院を巡るモデルコースと歴史解説(小松空港発)

お得な移動方法

はじめに:小松空港から台湾へ

石川県の小松空港から台北(桃園)まで直行便があります。タイガーエア台湾が週2便運航しており、北陸エリアからだと乗り継ぎなしで台湾に行けます。今回はこの便を使って、4月に3泊4日で台北周辺をめぐってきました。

台湾はもともと多くの先住民族が暮らす島で、17世紀にはオランダが拠点を置き、その後は清朝の支配下に入りました。1895年、日清戦争の講和条約(下関条約)によって台湾は日本に割譲され、以降1945年まで日本の統治下に置かれます。この約50年間に鉄道・学校・病院などのインフラが整備され、その痕跡は現在の台湾にも随所に残っています。終戦後は中華民国(国民政府)が統治を引き継ぎ、1949年には国共内戦に敗れた蒋介石率いる国民政府が大陸から台湾へ移ってきました。現在の台湾は、こうした幾重もの歴史が積み重なった場所です。

十份のランタン上げ、九份の夜景、台北101の展望台、故宮博物院……いずれも「一度は行ってみたい」と思いながら後回しにしていた場所ばかりです。実際に行ってみると、観光名所としての顔だけでなく、日本と台湾の歴史的なつながりが随所に感じられる旅になりました。

旅程ダイジェスト

主な行動移動手段
1日目小松空港発→桃園空港着→MRTで台北市内→寧夏夜市タイガーエア・エアポートMRT
2日目十份(ランタン上げ・十份瀑布)→九份(阿妹茶楼・夜景)→士林夜市台鉄・平渓線・タクシー・MRT
3日目阜杭豆漿→台北101→鼎泰豊→故宮博物院→青葉中山店→新光三越中山→西門町徒歩・タクシー・MRT
4日目鼎元豆漿→中正紀念堂→総統府→桃園空港発→小松空港着徒歩・MRT

出発前に知っておきたいこと:タイガーエア台湾と小松空港

タイガーエア台湾(Tigerair Taiwan)は、チャイナエアラインが出資して2014年に設立した台湾のLCCです。日本への就航空港数は外資系LCCの中で最多とされており、2018年1月には小松〜台北(桃園)線にも就航しました。

機内食や手荷物の預け入れは有料オプションのため、事前に公式サイトで確認して必要なものを予約しておくのがおすすめです。

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小松空港の出発案内ボード。「台北 16:55」の文字が台湾への旅の始まりを告げる
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タイガーエア台湾の機体。小松空港の滑走路で出発を待つ
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タイガーエアの機体を間近で見る。トラ柄のカラーリングが特徴的
路線運航頻度小松発桃園着
小松→台北(桃園)週2便(木・日)16:5519:10(現地時間)
台北(桃園)→小松週2便(木・日)12:1016:05(現地時間)

※2025年夏ダイヤを参考に記載。最新情報は公式サイトでご確認ください。日本との時差は1時間(台湾が1時間遅い)。

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離陸後の窓からの景色。翼の下に東尋坊が見える

桃園空港と松山空港の違い

台北へのアクセスには桃園国際空港(TPE)と松山空港(TSA)の2つがあります。市内に近いのは松山ですが、LCCを含む多くの国際線は桃園発着です。タイガーエア台湾の台北線はすべて桃園国際空港発着です。

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桃園空港の到着ウォール。「TAIWAN 臺灣」の文字が旅行者を迎える
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桃園空港の到着案内標識。「Arrivals 抵達」の表示に沿って入国審査へ向かう

1日目:小松空港 → 桃園空港 → 悠遊カード取得 → 寧夏夜市

エアポートMRTと悠遊カード(EasyCard)

桃園空港に着いたら、まずエアポートMRT(桃園機場捷運)の乗り場へ向かいます。空港地下2階に改札があり、快速で台北駅まで約35分・160元です。

乗車前に悠遊カード(EasyCard)を入手しておくことをおすすめします。日本のSuicaに相当するICカードで、MRT・バス・台鉄のほかコンビニでも使えます。MRT乗車時は現金払いより約2割引になります。空港の到着ロビーにある販売カウンターで購入可能。カード本体代100元+チャージ金額で使えます。

桃園〜台北駅の往復だけで320元かかるため、初回は700〜1,000元チャージしておくと安心です。帰国前に桃園空港の窓口で残高の払い戻しもできます(手数料20元)。

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購入した悠遊カード。MRT・台鉄・バス・コンビニで使えるICカード。カード代100元+チャージ分
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悠遊カードのチップ。タッチするだけで改札を通れる。MRT乗車時は現金より約2割引
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エアポートMRTの路線図。快速で台北駅まで約35分・160元
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エアポートMRTのA1台北車站。空港と台北を結ぶエアポートMRTの終着駅
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台北の夜景。到着1日目の夜、台北の街が輝く

1日目の夜は寧夏夜市へ

台湾の夜市(イエシー)は、清朝時代から続く市場文化を起源とし、現代の台湾でも人々の日常に根付いた食文化の場です。毎晩どこかで開かれており、地元の人にとっては夕食・夜食の場であり、家族や友人とくつろぐ場でもあります。食べ歩きだけでなくゲームや雑貨の露店も並び、老若男女が集まります。台北だけでも士林・饒河街・寧夏など複数の夜市があり、それぞれ規模や雰囲気が異なります。

寧夏夜市は台北市大同区にある、1940年代から続く歴史ある夜市です。全長約300mの通りに100軒近くの屋台が並び、臭豆腐・牡蠣オムレツ(蚵仔煎)・豬血糕(豚の血のもち米料理)など、台湾の伝統的な屋台料理が揃っています。士林夜市のように観光客で混雑する規模ではなく、地元の人も普通に夕食を食べに来る、落ち着いた雰囲気が特徴です。

ホテルから台北駅まで近く、そこから徒歩15分ほどのところにあるのが寧夏夜市を選んだ理由です。1日目の移動疲れのまま、あまり遠出せずに夕食を済ませたかったので、アクセスのよさが決め手でした。

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寧夏夜市の入口看板。1940年代から続く歴史ある夜市で、地元の人も普通に夕食を食べに来る
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寧夏夜市の通り。全長約300mに100軒近くの屋台が並ぶ

揚げ臭豆腐と、白玉に胡麻粉をまぶした屋台スイーツを食べました。揚げ臭豆腐は外がカリッとして中がふんわりしており、口に入れると思っていたよりずっとマイルドな味でした。白玉は胡麻の香ばしさともちもちとした食感が合っていて、歩き疲れた体にちょうどいい甘さでした。

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夜市の屋台スイーツ。もちもちした白玉に胡麻粉をたっぷりまぶして食べる
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揚げ臭豆腐のテイクアウトボックス。外はカリッと中はふんわりで、口に入れると思ったよりマイルドな味
スポット情報
住所台北市大同区寧夏路(MRT雙連駅・中山駅から徒歩10〜15分)
営業時間17:00〜深夜0〜1時ごろ(各屋台により異なる)
定休日基本なし(各屋台により異なる)
料金入場無料(各屋台での飲食は有料)

2日目:十份(ランタン・滝)→ 九份(老街・夜景)→ 士林夜市

十份(シーフェン)は台北から電車で1時間ほどの山間にある小さな集落で、線路沿いの商店街でのランタン上げと、徒歩圏内にある台湾最大級の滝が観光の目玉です。九份(チウフェン)は台北北東の丘の上に広がる旧鉱山の街で、赤提灯が灯る石段の夜景で知られています。どちらも「台湾に来たら行きたい場所」の上位に挙がる場所です。

2日目はこの2か所を1日でまわります。十份がある平渓線の瑞芳駅と九份の最寄りは同じ台鉄ルート上にあり、移動効率が良いのが理由です。午前〜午後を十份、夕方〜夜を九份にあてると、九份を夜景のベストタイムに訪れられます。

台北駅から台鉄で十份へ:日本が造った路線に乗る

台鉄(台湾鉄路管理局)は台湾全土を結ぶ在来鉄道で、MRTとは異なる路線です。台北駅構内の自動券売機で十分駅までの通し切符(68元)を購入でき、日本語表示にも対応しています。悠遊カードでの乗車も可能です。

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台北駅の外観。台湾最大のターミナル駅で、台鉄・MRT・高鐵が集まる交通の要衝
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台北駅の正面。1989年完成の現駅舎は重厚な外観で、台北の玄関口にふさわしい佇まい
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台北駅の券売機で購入した台鉄の通し切符。臺北→十分 NT。日本語表示の券売機で購入可能

台北駅の4番ホームから瑞芳駅方面の台鉄に乗ります。所要約50分。瑞芳駅で平渓線(ピンシー線)に乗り換えると、十分駅まで約30分です。

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台北駅4Bホームの電光掲示板。瑞芳・花蓮方面の列車案内が表示されている
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台北駅のホームに入線する台鉄の列車。ここから瑞芳まで約50分
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汐止(シーチー)駅の駅名標を車窓から撮影。台北を出てしばらくは市街地が続く
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台鉄の車内。日本の在来線に近い雰囲気で、観光客から地元の通勤客まで様々な人が乗り合わせる
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瑞芳(ルイファン)駅の駅名標。九份と十份への乗り換え拠点となる重要な駅
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瑞芳駅に停車中の台鉄列車。ここで平渓線(ピンシー線)に乗り換える

この平渓線には、日本との深い関わりがあります。1921年(大正10年)、日本の鉱山会社・台陽鉱業が石炭を運び出すために私鉄として開通させた路線で、後に台湾総督府鉄道に編入されました。当時の平渓・十份一帯は台湾北部有数の炭鉱地帯で、三井鉱山なども採掘に関わっていたとされています。掘り出された石炭は基隆港から日本本土や軍艦へと送られ、明治・大正期の日本の工業化と海軍力を支えた一端を担っていました。戦後、エネルギー革命と輸入炭の普及で炭鉱産業が衰退し、路線はローカル線として細々と生き残りました。それが今や観光路線として再生され、1時間に1本の電車に乗るために世界中から人が訪れています。山と渓谷を縫うように走る車窓は、往時の面影を残したまま今も変わらず続いています。

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平渓線の沿線風景。山間の深い緑の中を縫うように走るローカル線
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平渓線の車窓から。山と渓谷の間を走る路線は、かつて炭鉱の石炭を運び出すために敷かれた
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平渓線の車内。丸い仕切りが特徴的なレトロな内装。1時間に1本の運行で時刻表確認が必須
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十分(シーフェン)駅の駅名標。平渓区にある小さな駅で、駅前がそのまま観光地になっている
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十分駅の駅舎正面。「十分車站」の文字が入ったレトロな木造駅舎が迎えてくれる
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十分駅の駅舎側面。観光客で賑わう台湾有数のローカル鉄道観光スポット
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十分駅のホーム。留置された列車と古びたホームが昔の鉄道風景を伝える

十份老街でランタン上げ

十分駅を降りると、目の前に線路沿いの細い商店街が広がります。1時間に1本の平渓線が商店街の真ん中をすり抜けていく光景は、他ではなかなか見られません。

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十份老街の入口付近。線路沿いに観光客向けの店が並ぶ独特の商店街
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十份老街に電車が入ってきた瞬間。人々が線路の両脇に退き、電車が過ぎると賑わいが再開する
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ランタン上げが行われる十份老街。線路と観光客が共存する独特の光景
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十份老街の全景。電車が来ると一時的に線路の両脇に人が退くが、すぐに活気が戻る

名物のランタン上げ(天燈)は、竹と和紙のランタンに願い事を書き、火をつけて空へ放ちます。

天燈の起源については諸説あります。清代、山間部に住む人々は盗賊の襲撃を逃れて山に避難することがあり、無事が確認されたら天燈を上げて山の人たちに「戻ってきていい」と知らせたという言い伝えが残っています。願いを空に届ける習慣として定着し、現在では毎年元宵節(旧暦1月15日)に平渓で大規模な天燈祭りが開かれます。観光として年中体験できるようになったのは比較的新しいことですが、夜空に無数のランタンが舞い上がる祭りの風景は、今や台湾を代表する光景のひとつになっています。

色によって意味が異なるとされており、赤=健康運、黄=金運、紫=学業運などと言われています。ランタンが青空に昇っていく様子を、しばらく見上げていました。

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天燈(ランタン)を広げて準備中。スタッフが日本語で願いの書き方を丁寧に教えてくれる
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青空に舞い上がるランタン。書いた願い事を乗せて空高く昇っていく
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十份老街の線路沿いの通り。電車が通る直前の静かな一瞬

料金目安:1色 150元〜、4色 200元前後(執筆時点参考)
注意:ランタンに使う墨は衣類につくと落ちにくいため、白い服は避けてください。

昼食:河邊牛肉麵店

ランタン上げの後、十份老街の端にある河邊牛肉麵店で昼食にしました。川に面した小さな食堂で、地元の人も普通に食事に来ているような落ち着いた雰囲気です。

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河邊牛肉麵店の外観。十份老街の端にある川沿いの小さな食堂

牛肉麵(ニウロウミェン)と小籠包を注文しました。牛肉麵は醤油ベースのスープに深みがあって、一口飲んだ瞬間に「これは当たりだ」とわかる味でした。牛肉はほろほろに煮込まれていて、箸で軽く押すだけでほぐれます。麺は少し太めでスープをよく吸っていました。小籠包も皮が薄くて具がしっかり詰まっていて、十分満足しました。

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河邊牛肉麵店の手書きメニュー。日本語のメモも付いていて注文しやすい
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牛肉麵(ニウロウミェン)。醤油ベースの深みあるスープに煮込んだ牛肉と太麺。この旅でいちばんおいしかった一杯
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小籠包。皮が薄く具がしっかり詰まっていて、観光地の食堂のクオリティを超えていた
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魯肉飯(ルーローファン)。豚の角煮をご飯に乗せた台湾の定番料理。100元前後とコスパも抜群
店舗情報
住所新北市平渓区十份街288号
営業時間11:00〜16:00ごろ(売り切れ次第終了の場合あり)
定休日不定休(訪問前に要確認)
料金牛肉麵 100元前後(執筆時点参考)

十份瀑布(十份の滝)まで歩く

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十份老街の端にある廃線跡とトンネル。かつての炭鉱鉄道の遺構が残る
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十份瀑布公園の歴史展示パネル。平渓線の開通と炭鉱開発の歴史をわかりやすく解説している
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炭鉱の歴史を伝える展示パネル。日本の鉱山会社が開発した十份の産業史と日本との関わりが記されている
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十份瀑布公園内の旧炭鉱施設跡。廃工場が公園として整備されている

昼食後、老街を抜けて基隆河沿いの遊歩道を上流へ歩きます。舗装された平坦な道が続き、川の流れを左手に聞きながら30分ほどの道のりです。両側は亜熱帯の植生で、4月はすでに緑が深く、日差しを遮るほど木々が茂っています。途中に小さな吊り橋が何本かあり、橋の上から見下ろすと川の色が透き通った緑青色をしていました。歩いていると、やがて遠くから低い轟音が聞こえてきます。音が大きくなるにつれ、木々の隙間から水しぶきの白い煙のようなものが見え始め、十份瀑布に到着します。台湾最大級とされる滝で、幅約40m・落差約20m。4月でも水量が多く、轟音と水しぶきの迫力がありました。30分歩いてきた甲斐がありました。

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遊歩道から見た基隆河。透き通った緑の川が山間を流れ、橋の上から川底まで見えるほど澄んでいる
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基隆河にかかる鉄橋と平渓線の電車。歩行者用の吊り橋と鉄道橋が並ぶ珍しい光景
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基隆河にかかる歩行者用吊り橋。揺れる橋の上から碧い川の流れを見下ろす
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十份瀑布公園内のフルーツ屋台。色とりどりのトロピカルフルーツとアイスバーが並ぶ
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十份瀑布の帰り道に購入したフルーツジュース。30分歩いた後の一杯が格別においしい
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十份瀑布の近景。近くまで行くと水しぶきが顔にかかるほどの迫力がある
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展望台から見た十份瀑布(十份の滝)。幅約40m・落差約20mの大瀑布に観光客が集まる
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十份瀑布の遠景。深い緑の山に囲まれた台湾最大級の滝。4月は水量が多く特に見ごたえがある
スポット情報
住所新北市平渓区乾坑10号(十份老街から徒歩約30分)
営業時間9:00〜17:00(夏季は18:00まで。季節により変動)
定休日基本なし
料金無料

瑞芳駅からタクシーで九份へ

十份瀑布から十份老街に戻ってくると、老街の入口あたりに「九份まで直接行ける乗り合いタクシー」の看板がありました。何人か集まれば出発するという形式で、料金もそれほど高くなく、瑞芳で乗り換えずに済む便利な選択肢です。ところがタクシー自体が遠くに出ていて、戻りを待っているうちに平渓線の電車が先に来てしまいました。結局そのまま電車に乗って瑞芳駅へ向かい、そこからタクシーに乗り換えて九份へ向かいました。

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瑞芳駅の出口。改札を出てすぐ右手にタクシー乗り場がある
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瑞芳駅の壁に貼られた海科館のポスター。乗り換えの短い時間にも台湾らしさが漂う

瑞芳駅前のタクシー乗り場は台数が少なく、私が降りたときは1台しかいませんでした。Uberもこのエリアではなかなか捕まらないようです。電車を降りたらすぐにタクシー乗り場へ向かうのがおすすめです。協定価格は220元が目安で、所要10〜20分です。乗り合いタクシーが来るなら試してもいいですが、時間が読めないので確実さを取るなら瑞芳乗り換えの方が安心です。

九份老街と阿妹茶楼の夜景

九份は清朝末期の19世紀末から金の採掘で栄えた山の街です。日本統治時代には藤田財閥が採掘権を握り最盛期を迎え、「小上海」とも呼ばれたほど活気がありましたが、1971年に金鉱が閉山しました。

転機となったのは1989年の映画「悲情城市」(侯孝賢監督)で、二・二八事件を描いたこの映画のロケ地として再び注目されました。2001年には「千と千尋の神隠し」が公開され、九份の赤提灯の風景が映画の世界に似ていると話題になりましたが、スタジオジブリ公式はモデルであることを否定しています。夜の石段を歩くと確かに重なるものを感じましたが、それは私個人の印象です。

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九份の入口。バスを降りるとすぐ「九份」の文字が迎えてくれる

タクシーは台2丙線沿いの上部エリアで停まります。降りるとすぐ「九份」と書かれた看板が現れ、ここから石畳の路地が始まります。まず向かったのは、基山街の入口近くを少し上った高台にある聖明宮(せいめいきゅう)です。

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九份の高台にある聖明宮。関聖帝君(関羽)を主神とする道教の廟で、鮮やかな装飾と基隆湾を見渡す眺めが印象的

関聖帝君(関羽)を主神とする道教の廟で、3層4楼の造りです。上階からは基隆湾を望む眺めも開けており、観光客でにぎわう老街から少し離れているぶん、静かな時間が流れていました。参拝を終えたあと、九份の中心商店街・基山街(ジーシャンジエ)へと下りていきます。

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九份名物の石段。赤提灯が連なる光景は昼間も絵になる
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九份の路地。細い石畳の通りに土産屋や茶館が並ぶ
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九份老街の広場。頭上を覆う赤提灯が昼間でも印象的

基山街は九份老街とも呼ばれ、土産物屋・甘味処・屋台がひしめく全長200mほどの通りです。石段を進むにつれ両側に赤提灯が連なり、昼間でも独特の雰囲気があります。老街には金鉱時代を伝えるモニュメントも点在しており、かつて「金山」として栄えた頃の記憶が随所に残っています。

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金の塊を運ぶ採掘夫の銅像。九份が鉱山の街だった時代を伝えるモニュメント

老街では食べ歩きも楽しみました。九份名物の芋圓(ユーユエン)は老友號芋圓(ラオヨウハオユーユエン)で。タロイモやサツマイモで作ったもちもちの団子で、色とりどりのものをかき氷やシロップと合わせて食べます。甘さ控えめで、歩き疲れた午後にちょうどいい軽さでした。魚のつみれスープは老舗・魚丸伯仔(ユーワンボーズ)で。1950年創業の老店で、シンプルながら出汁が効いていて体が温まります。乾物やスナックの屋台も多く、台湾らしい食材が並んでいました。

九份名物の芋圓。もちもちした食感とやさしい甘さが歩き疲れにちょうどいい
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老街に並ぶ乾物・スナックの屋台。干した魚介類や台湾らしい食材が並ぶ
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魚丸湯(魚のつみれスープ)。あっさりした出汁が疲れた体に染み渡る
店舗情報
店名老友號芋圓(ラオヨウハオユーユエン)
住所新北市瑞芳区基山街143号
営業時間8:00〜20:00(要現地確認)
定休日不定休
店舗情報
店名魚丸伯仔(ユーワンボーズ)九份老街店
住所新北市瑞芳区基山街17号
営業時間平日10:00〜19:00 / 休日10:00〜21:00
定休日不定休
料金魚丸湯 30元〜(執筆時点参考)

九份の全景は、山の中腹に建物が張り付くように広がっています。海側を見渡すと山と空と遠くの海が重なって、霧がかかる日はより幻想的な雰囲気になります。

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霞がかかった九份の町並み。山の斜面にびっしりと建物が並ぶ
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九份から望む山と港の眺め。霧がかかると特に幻想的な雰囲気になる

基山街の途中から豎崎路(シュウチールー)の石段を降りると、九份の代名詞ともいえる阿妹茶楼(アーメイ茶樓)が見えてきます。今回は阿妹茶楼を眺められる向かいの茶芸館・海悦楼景観茶坊(ハイエツロウ)でお茶をいただきました。テラス席から阿妹茶楼と九份の夜景を正面に眺めながら台湾茶を楽しめる絶景の名所です。当日は30分ほど並んで席に着けましたが、週末や夕方以降は特に混み合います。窓際の席は事前予約が望ましく、KlookなどのOTAで予約できます。ただし、テラスには予約なしでも自由に出入りできるため、席を取らなくても景色や写真は十分に楽しめます。

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阿妹茶楼の外観。昼間に見ると夜とはまた違う表情がある
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霧に包まれた阿妹茶楼。九份は山の天気が変わりやすく、霧に覆われることも多い
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海悦楼景観茶坊で出てきた茶壺。阿妹茶楼を眺めながら台湾の高山茶をいただく
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お茶とともに出てきた台湾の茶菓子。パイナップルケーキに似た優しい甘さ
店舗情報
住所新北市瑞芳区豎崎路31号
営業時間9:00〜21:00(要現地確認)
定休日基本なし
料金お茶セット 350元〜(1人1オーダー制)
予約KlookなどのOTAで予約可(窓際席は予約推奨)

日が傾き始めると阿妹茶楼に灯りが入り、九份の景色が一変します。空がまだ青い時間帯から、徐々に赤提灯が輝き始め、完全に暗くなるにつれ夜景としての表情が完成していきます。海悦楼景観茶坊の席でこの変化を眺めながらお茶を飲む時間が、九份滞在のいちばんの贅沢です。

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黄昏時の阿妹茶楼。この時間帯に席を取れると、夜景への変化をゆっくり楽しめる
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空がまだ青い時間帯の阿妹茶楼。提灯の灯りと空の青さが対比する
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灯りが入った阿妹茶楼と九份の夜景。山の中腹に広がる光の集まりが幻想的
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九份を代表する阿妹茶楼の夜景。この光景を目にすると、ここに来てよかったと感じる

夜になると九份の石段は人で混み合います。それでも夜の雑踏を歩くのもまた九份らしさで、提灯の光に照らされた路地を進む感覚は昼間とはまるで違います。

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夜の九份老街の路地。赤提灯が灯り、雰囲気が昼間から一変する
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週末の夜は石段が人で埋め尽くされる。混雑も九份の夜の風物詩

士林夜市でエビ釣り・食べ歩き

九份から台北市内に戻り、MRTレッドライン・剣潭駅から徒歩すぐの士林夜市へ。

士林夜市の入口。赤提灯が連なり、夜でも人が絶えない。

士林夜市の歴史は古く、1909年(明治42年)の日本統治時代に士林市場として開設されたのが始まりです。戦後も拡大を続け、現在は地下の美食区(フードコート)と地上の露店エリアが合わさった台湾最大規模の夜市となっています。週末は国内外の観光客と地元の人が入り混じり、身動きが取れないほど混雑します。寧夏とは別の世界で、熱気という意味では台北随一です。

食べたのは麺線・エリンギ焼き・小籠包です。麺線は細いそうめん状の麺を豚モツや牡蠣とともにとろみのあるスープで煮込んだ台湾の定番屋台料理で、1杯50元前後。エリンギ焼きは大ぶりのエリンギを丸ごと網焼きにしてスパイスをかけたもので、外の焦げた香りと中のジューシーさが合っていました。小籠包は皮がやや厚めで食べ応えがあり、かじると肉汁がじゅわっとあふれてきます。屋外で立ちながら食べる夜市スタイルが、また格別でした。

エビ釣り(蝦釣り)は台湾の夜市らしい遊びで、釣ったエビをその場で焼いてもらえます。思うように釣れず、気がつけば1時間近くが経っていました。単純なゲームですが、1回釣れるごとに針を1本抜いていく形式なので、針の本数が辞め時の目安になります。

エビ釣り体験。水槽の中のエビに針を垂らす。

士林夜市の周辺は士林商圈と呼ばれる繁華街にもなっていて、衣類・アクセサリー・コスメなどを扱うショップが夜遅くまで営業しています。食べ歩きだけでなく買い物も楽しめるので、時間があれば夜市の外も一回りしてみてください。

士林商圈の中心にある慈諴宮。媽祖を主神とする廟で、士林夜市の開設とも縁が深い。
炒飯の食べ歩き。カップに盛って立ちながら食べるのが夜市スタイル。
エリンギの網焼き。大ぶりのエリンギを丸ごとグリルにかけている。
焼き上がったエリンギ焼きにスパイスをかけた一品。外の香ばしさと中のジューシーさが特徴。
士林商圈の路地にハートのイルミネーションが連なる。衣類・アクセサリー・コスメのショップが夜遅くまで営業している。
士林夜市の小籠包。テイクアウトボックスに入って提供される。
慈諴宮の内部。天井を埋め尽くす赤い提灯の圧倒的な光景。

2日目モデルルート(時間目安)

時間行動
7:30台北駅 台鉄で出発
9:00頃十份到着・ランタン上げ
11:30頃河邊牛肉麵店でランチ
13:00〜14:30十份瀑布(往復徒歩60〜70分)
15:30頃十分駅出発・瑞芳へ
16:30頃九份到着(夕暮れ前を狙う)
17:00〜19:30老街散策・阿妹茶楼で夜景とお茶
20:00〜タクシー→MRTで士林夜市へ

※平渓線は1時間に1本。十份瀑布へ向かう前に必ず帰りの時刻を確認してください。

3日目:阜杭豆漿 → 台北101 → 鼎泰豊 → 故宮博物院 → 青葉 → 西門町

朝食:阜杭豆漿

台湾では朝食を外で食べる文化が広く根付いており、豆漿店・蛋餅の店・サンドイッチ店などが早朝から賑わいます。1950年代頃までは自宅で朝食を済ませることが一般的でしたが、1960年代以降に産業の中心が農業から工業へと移り共働き世帯が増えたことで、忙しい朝に外で手早く済ませるスタイルが広まりました。阜杭豆漿のような豆漿店はさらに、1949年以降に中国大陸から移ってきた外省人が持ち込んだ食文化も受け継いでおり、1970年代以降に台湾社会へ広く定着しました。

阜杭豆漿(フーハン・ドウジャン)はその豆漿文化を代表する店で、MRT善導寺駅すぐの市場ビル2階にあります。開店前から行列ができることで知られており、この日は8時過ぎに着きましたが、すでに1時間待ちの列ができていました。

豆漿(鹹豆漿)・油條(揚げパン)・厚餅夾蛋(平焼きパンに卵と具を挟んだもの)を注文。鹹豆漿は醤油・酢・ラー油などで味付けされた豆乳スープで、何杯でも飲めそうなやさしい味です。合計150元ほどで食べられました。

阜杭豆漿の調理場。油條や厚餅夾蛋が次々と焼き上げられている。
鹹豆漿。油條の切れ端と香菜が入り、醤油・酢・ラー油で味が整えられた台湾式豆乳スープ。
油條と鹹豆漿のセット。油條はちぎって豆漿に浸して食べるのが定番スタイル。
店舗情報
住所台北市中正区忠孝東路一段108号2F(MRT善導寺駅2番出口すぐ)
営業時間5:30〜12:30ごろ(売り切れ次第終了)
定休日月曜日
料金豆漿25元〜・油條25元〜(執筆時点参考)

台北101の展望台へ

台北の象徴・台北101。2004年完成当時は世界一の高さとされていた建物で、高さ509.2m・地上101階建てです。設計は台湾人建築家C.Y.李祖原で、外観は8つの正方形ブロックを積み重ねた形をしています。「8」は中国文化で縁起のよい数字とされ、竹の節を連想させるデザインは「永続的な成長」を表すとされています。開業当時のエレベーターは毎分1,010mという世界最速で、89階まで約37秒で到達します。101という数字は「完璧(100)を超える存在」を意味するとも言われています。2010年にドバイのブルジュ・ハリファが竣工するまでの6年間、世界最高層の座にありました。

89階の屋内展望台まではエレベーターで約37秒。4月の晴れた日に訪れたので、台北盆地の街並みが360度広がり、遠くの山並みまで見えました。台湾は日本と同様に地震と台風の多い地域で、台北101もその対策を施しています。展望台内には台風や地震の揺れを制御する巨大な制振装置(チューンドマス・ダンパー、重さ約660トン)も展示されています。数字では理解していても、実物を前にするとそのスケールが急にリアルに迫ってきます。

台北101を下から見上げる。竹の節をモチーフにした外壁の継ぎ目が青空に向かって続く。
台北101のマスコットと縮小模型。
89階展望台から見た台北盆地。四方を山に囲まれた都市が一望できる。
展望台から北西方向の眺め。手前に台北アリーナ、遠くに淡水河が見える。
展望台内の方位表示。南側の窓の外に広がる市街地。
チューンドマス・ダンパーの球体を上から見たところ。重さ約660トン、直径5.5mの黄金色の球。
球体を斜め上から見たアングル。4本のワイヤーで吊り下げられている。
チューンドマス・ダンパーの正面全景。101のマスコット(ダンパーベイビー)と並ぶ。
施設情報
住所台北市信義区信義路五段7号(MRT台北101/世貿駅)
営業時間10:00〜21:00(最終入場20:15)
定休日基本なし
料金屋内展望台600元(執筆時点参考・変動あり)

鼎泰豊(ディンタイフォン):101店は整理券を早めに、待ちを減らすならA13店へ

台北101店(台北101ショッピングセンターB1F)は人気が高く、昼食時に2〜3時間待ちになることがあります。台北101店に行く場合は開店前に整理券を確保しておくのがおすすめです。今回は台北101から歩いてすぐのA13店(遠東百貨信義A13・1F)を選びましたが、こちらも整理券方式で、整理券を受け取った後は百貨店内を自由に散策しながら呼び出しを待てます。待ち時間は20分ほどで、思ったよりもスムーズに入れました。小籠包の皮は均等に整ったひだで薄く仕上げられており、口に入れた瞬間に熱いスープが舌の上に広がります。

鼎泰豊の小籠包。均等に整ったひだと薄い皮が特徴。
鼎泰豊 A13店の入口に置かれたマスコット。小籠包の形を模した造形。
店舗情報
住所台北市松仁路58号1F(遠東百貨信義A13内・MRT市政府駅から徒歩約5分)
営業時間11:00〜20:30(執筆時点参考)
定休日基本なし
料金小籠包(10個)230元前後(執筆時点参考)

故宮博物院:70万点の収蔵品

鼎泰豊からタクシーで故宮博物院へ(約20〜30分・600〜800元)。「世界の四大博物館のひとつ」に数えられることもあると言われる施設で、展示品は約70万点とされています。

「故宮」という名は、北京にある旧皇帝の宮殿「故宮(紫禁城)」に由来しています。明・清時代の皇帝が代々収集してきた美術品・工芸品がそこに収蔵されており、1925年に宮殿を一般公開して「故宮博物院」と命名されました。ではなぜその収蔵品が台北にあるのでしょうか。1945年の日中戦争終結後、蒋介石率いる国民党政府と毛沢東率いる共産党の内戦が再燃しました。1949年に共産党が勝利して中華人民共和国が成立すると、敗れた国民政府(中華民国)は軍・官僚・民間人など多くの人々とともに台湾へ撤退しました。そのとき、内戦激化にともない前年から南京へ移送していた故宮の収蔵品のうち約60万点が、1948〜1949年の3回に分けて台湾に持ち出されました。残りの収蔵品は北京に残り、現在の北京故宮博物院として公開されています。

館内には疎開の過程を記録した映像展示もあり、収蔵品を木箱に詰めて運び出す様子が記録されており、いかに大量の文物が台湾へ渡ったかがよくわかりました。

必見の「翠玉白菜」(一本の翡翠から白菜とキリギリスを彫り出したもの)と「肉形石」(豚の角煮そっくりの石)は、写真より実物の方がはるかに細密で、正直ここまでとは思っていませんでした。

この収蔵品をめぐる問題は、現在進行形でもあります。中国(中華人民共和国)はこれらの文物を「中国の財産」として返還を求める立場を取り続けており、台湾(中華民国)は合法的に保管・展示しているという立場です。北京にも「故宮博物院」がある一方、台北の正式名称は「国立故宮博物院」——この「国立」が指す国は中華民国であって中華人民共和国ではない、という意思表示でもあります。博物院の名前と収蔵品そのものが、台湾と中国の間に今も続く問題を映し出しています。

広大な館内を全て見るには1日以上必要です。今回は2〜3時間の滞在でしたが、翠玉白菜を見てもう少しじっくりと向き合うために、いつかまた訪れたいと思いました。

国立故宮博物院の正面石段。上に建つ入口の牌坊に向かって石段が続く。
天下為公と刻まれた白い牌坊(正面門)。その奥に博物院本館が見える。
参道から見た博物院本館の遠景。両側の常緑樹が整然と並ぶ。
博物院本館の外観。中国宮殿式の屋根に白い外壁と赤い装飾。
景泰藍(クロワゾネ)の龍鳳文大皿。青地に赤と金で描かれた龍が圧巻。
牛を描いた水墨画の巻物。複数の鑑賞印が押され、皇帝の御物であったことが窺える。
白馬の立体展示。博物院の特別展示コーナー。
肉形石(東坡肉石)。縞瑪瑙を精緻に彫り上げた豚の角煮そっくりの工芸品。
翠玉白菜。清朝・瑾妃の嫁入り道具とされる、一本の翡翠から彫り出した白菜。
翠玉白菜を別角度から。葉のひだや葉脈まで丁寧に彫り込まれている。
青銅器の刀剣類。殷・周・戦国時代の武器が並ぶ。3000年以上前のものとは思えない保存状態。
殷・周時代の青銅鉢(簋)。渦巻き文様と獣面文が施された祭祀用の礼器。
玉製品のコレクション。翡翠の器と鹿の彫刻。玉は古代中国では権力と徳の象徴。
施設情報
住所台北市士林区至善路二段221号(MRT士林駅からバス304・815番など)
営業時間9:00〜17:00(火〜日)
定休日月曜日(祝日の場合は開館)
料金一般350元(執筆時点参考・変動あり)

夕食:青葉 中山店

台湾家庭料理の老舗・青葉中山店で夕食。カニおこわ(蟹肉油飯)・三杯鶏・苦瓜炒めを注文しました。三杯鶏はごま油・醤油・砂糖で炒めた鶏肉料理で、九層塔(バジルに似たハーブ)の香りが効いていて、ご飯が進みます。旅の3日目でこういう家庭料理的な温かみのある味が食べたくなるのはよくわかる感覚でした。

青葉中山店のカラスミ(烏魚子)。ボラの卵巣を塩漬けして乾燥させた台湾の珍味。
苦瓜と牛肉の炒め物(上)と麻辣豆腐(下)。台湾家庭料理の滋味が揃う。
カニおこわ(蟹肉油飯)。蒸籠にのった丸ごとのカニとおこわ。カニの旨みがおこわにしみ込んでいる。
デザートの杏仁豆腐。なめらかなミルク豆腐に数種のフルーツが添えられている。
店舗情報
住所台北市中山区中山北路一段105巷10号
営業時間11:30〜14:30、17:00〜22:30(要現地確認)
定休日月曜日(要現地確認)
料金1人あたり500〜800元程度

夕食後の中山エリア散策:新光三越中山店

青葉での夕食後、徒歩すぐの新光三越中山店へ立ち寄りました。中山駅周辺は台北随一のショッピングエリアで、新光三越・微風・京站などの百貨店が並びます。夜でも賑わっており、旅の最後に台湾のデパートを覗いてみるのも楽しかったです。帰りはMRT中山駅から乗車しました。

新光三越中山店の外観。青葉での夕食後に立ち寄った。
中山エリアの夜景。百貨店や飲食店が集まる台北有数の繁華街。
中山駅のMRT入口。帰りはここから地下鉄でホテルに戻った。

夜の西門町と北門周辺の日本統治時代建築

夕食後は西門町を散歩。台北の若者文化の中心地で、映画館・カフェ・古着屋・屋台が入り混じる活気ある街です。

西門町から北門駅方向へ歩くと、日本統治時代の建築が点在しています。撫台街洋楼(1910年建設)は、台北に現存する最古の西洋建築のひとつとされる赤レンガの建物で、日本統治期の民政部が建設しました。旧台北驛(初代台北駅)は1989年に現在の地下駅建設にともない取り壊されており現存しませんが、この建物はそれとは別の、当時の商業・行政拠点として残る遺構です。

北門(承恩門)は1884年(清朝時代)建設の城門で、夜はライトアップされています。モダンな都市の夜景の中に清朝の石造りの門が浮かび上がる様子は、昼間とはまた違う雰囲気でした。北門駅近くには台北城の旧城壁の石積みが一部保存されており、夜にライトアップされた状態で見ることができます。

北門のすぐそばには旧台北郵便局(台北北門局)があります。1930年(昭和5年)に建設されたルネサンス様式の石造り建物で、日本統治時代の政府建築の威容を今に残しています。現在も台北北門郵便局として現役で使われており、建物の中に入ることもできます。

台北という街は、淡水河の水運を軸に発展してきました。18世紀後半、河川交通の要衝に位置した艋舺(現・萬華)が台北最古の市街地として栄え、19世紀には大稲埕(現・迪化街周辺)が茶葉輸出の拠点として急成長しました。こうした商業地の拡大を受けて1875年に清朝が台北府を設置し、1884年に城壁と5つの城門からなる城郭都市「台北城」が完成しました。北門(承恩門)はその北側の正門にあたり、大陸方面への官道につながっていました。日本統治時代に城壁は道路建設のためほぼ取り壊されましたが、城門はいくつか残されました。現存する城門の中で北門は改修が最も少なく、清朝当時の構造をよく保っています。

撫台街洋楼(1910年建設)。台北に現存する最古の西洋建築のひとつで、日本統治期の赤レンガ造り。
台北城の旧城壁跡。1884年完成の城郭都市台北城の石積みが北門周辺に保存されている。
北門(承恩門)。1884年(清朝)建設の城門で、現存する台北城の城門の中で最も当時の構造をよく保っている。
旧台北郵便局(1930年建設、現・台北北門郵便局)。ルネサンス様式の石造り建物で現在も現役。

4日目:中正紀念堂 → 総統府 → 帰国

帰りのタイガーエアは正午ごろの出発のため、観光に使えるのは午前中だけです。台北駅を10時半には出ないと空港での余裕がなくなるので、実質9時台には動き出す必要がありました。限られた時間でも2か所をしっかり回れたので、ホテルの立地次第でこのルートは十分成立します。

朝食:鼎元豆漿

最終日の朝食はMRTで中正紀念堂駅へ向かい、駅近くにある鼎元豆漿(Ding Yuan Soy Milk)へ。阜杭ほど有名ではなく、朝から地元客が普通に来る落ち着いた雰囲気の店です。油條はサクサクとした歯ごたえで、驚くほど油っぽさがなく軽い。鹹豆漿は温かくほんのり甘みがあり、揚げパンをひたして食べると豆の風味がよく立ち、ひと口ひと口が丁寧に感じられます。旅の最終日の朝に、こういう静かな朝食がちょうどよかったです。朝食後はそのまま徒歩で国立中正紀念堂へ向かいました。

鼎元豆漿の外観。地元の常連客が朝食を食べに来る、飾り気のない店構え。
鼎元豆漿の朝食セット。小籠包・鹹豆漿・蛋餅・ゴマ餅などが並ぶ。

国立中正紀念堂

蒋介石(蒋中正)を記念して1980年に完成した純白の大理石造りの建物で、高さ約70m・重さ25,000トンとされる本堂が巨大な台座の上に立っています。広大な自由広場を挟んで国家音楽庁と国家戯劇院が対面しており、三棟が広場を囲む壮大な配置になっています。

実際に訪れると、その広さと空間のスケールに圧倒されます。広場は一辺が数百メートルあり、東西南北にそれぞれ門が立ち、奥に白い大きな建物がそびえるその光景は、北京の天安門広場に通じる中国的な威圧感がありました。台湾の中にいながら、一瞬だけ異なる時代・文化の空気を感じる場所です。

中正紀念堂の正面入口・大孝門。三連アーチの白い門が自由広場の入口を告げる。
中正紀念堂本堂の正面。急な白大理石の石段の上に青瓦の六角屋根が乗る。
自由広場から見た全景。奥に中正紀念堂本堂、左右に国家戯劇院と国家音楽庁が対称に並ぶ。
本堂正面(遠景)。広大な自由広場と本堂の対比がわかる。
自由広場から大忠門方向を望む。広場の奥行きと開放感が伝わる。
国家戯劇院(または国家音楽庁)。橙色の中国宮殿式屋根と赤い柱が特徴。
自由広場と刻まれた大忠門のアップ。2007年に現在の名称に改名された。
大忠門の広角写真。三連アーチの向こうに中正紀念堂本堂が見える。

蒋介石は1949年に国共内戦に敗れて台湾に政府を移した指導者で、現代台湾では評価が大きく分かれている存在です。

この広場の正式名称は「自由広場」といいます。かつては「大中至正」(蒋介石の功績を称える言葉)と書かれた扁額が正門に掲げられていましたが、民主化の進展とともに2007年に「自由広場」へと改められました。中華人民共和国の象徴的な広場が「天安門」であるのに対し、ここを「自由広場」と名付けていること——その違いに、台湾と中国の現在の立場がはっきりと表れているように感じました。

総統府(旧台湾総督府):日本と台湾をつなぐ建物

中正紀念堂から歩いて総統府へ。1919年(大正8年)に台湾総督府の庁舎として完成し、現在も台湾の大統領府として使われています。

設計は野村一郎と森山松之助で、2人は東京駅を設計した辰野金吾の門下生にあたります。赤レンガに白い花崗岩を組み合わせた「辰野式」の外観は、東京駅丸の内駅舎と同系統のスタイルです。高さ約60mで竣工当時は台湾最高の建築物とされており、上空から見ると「日」の字の形を描いているとも言われています。

平日午前中に一般公開(要パスポート)されており、当時の設計図や写真の展示もあります。台北駅から歩いて行ける距離に、東京駅と同じ設計思想の建物が今も現役の大統領府として使われています。日本統治時代の歴史が遠い出来事ではなく、目の前の街の一部として続いていることを実感します。

総統府を大通りから望む。赤レンガと白花崗岩の縞模様が目を引く。
総統府の外観。中央の時計塔が高さ約60m。竣工当時は台湾最高の建築物だった。
総統府の別アングル。辰野式の建築様式は東京駅丸の内駅舎と同系統。

台北駅から桃園空港へ

台北駅からエアポートMRTで桃園空港へ(35分・160元)。台北駅とエアポートMRTの駅舎は別の建物なので、連絡通路の徒歩数分を考慮して余裕をもって移動してください。悠遊カードの残高は桃園空港の窓口で払い戻し可(手数料20元)。

桃園空港の搭乗エリアを歩いていると、折り畳み自転車の展示コーナーがありました。台湾はジャイアント(GIANT)・メリダ(MERIDA)・キャリーミー(CarryMe)など世界的な自転車ブランドを擁する「自転車王国」で、製造技術・輸出量ともに世界トップクラスです。空港で自転車を見かけるのも、台湾らしさのひとつかもしれません。

小松空港まで約3時間で帰国しました。

エアポートMRTの台北車站(A1)入口。桃園空港まで約35分・160元。
桃園国際空港のチェックインエリア。タイガーエア台湾のマスコットが出迎える。
搭乗エリアに展示された台湾製折り畳み自転車(CarryMe)。台湾は世界有数の自転車ブランドが集まる自転車王国。
搭乗口から見たタイガーエア台湾の機体。この便で小松空港へ帰る。
広島上空
タイガーエア台湾の機体。約3時間のフライトで小松空港へ。

旅を終えて

台湾の街のあちこちに日本との接点がありました。平渓線が石炭輸送のために敷かれた路線であること、九份が日本統治時代の金山として栄えたこと、総統府が辰野式の建築であること……歴史の教科書で読む話が、実際に目の前の景色として存在しています。

「過去の出来事」が現在の街並みとして続いている場所を歩くのは、博物館で展示を見るのとは違う感触があります。歴史に関心のある方には台湾が特に刺さる旅先だと思います。

北陸にお住まいの方には、小松空港発という選択肢をぜひ一度試してみてください。乗り継ぎなしで台北まで行けるので、移動の負担が少なく済みます。

ぴりか

地理や旅行が大好きな一般人。東京出身ですが、四国、九州など転々と移住し、今は北陸に住んでいます。学生時代に47都道府県を自転車で制覇。国内旅行業務取扱管理者の資格あり。JGC取得済み。

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